2022.10.03

リビング階段にして後悔?知っておきたいリビング階段の特性とは

建てる

最近の新築のお家で主流になりつつあるのが、2階への階段をリビングに設ける「リビング階段」。

従来は玄関を入ってすぐの廊下に設けられることが多かった階段ですが、1階に廊下を設けない「廊下なし」の間取りが増えてきていることや、吹き抜けと組み合わせるとスタイリッシュで開放的な空間を作ることができるという点が人気となり、今やリビング階段の間取りが主流になりつつあります。

しかし、リビング階段特有の性質を知らないまま安易にリビング階段を選択すると、住み始めた後に思わぬデメリットに直面し、後悔することになるかもしれません。リビング階段の特性にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。

1. 空調が効きにくく冷暖房効率が下がる

リビングに階段があると、リビングの空気が階段へと漏れて2階に上がってしまいます。特に暖かい空気は上に昇る性質があるため、リビングの暖気が階段を伝って2階に上がってしまいやすくなります。

一般的に、入口に扉が設けられていることが少ないリビング階段。そのため、夏場はリビングの暖気が2階に上がって、屋根からの熱も相まって2階が異様に暑くなったり、冬場はリビングの暖気が逃げてしまって1階が寒くなったり…ということになりかねません。

扉やロールスクリーンで対策!

扉やロールスクリーンを付けられる形式のリビング階段であれば、冷暖房時には閉められるような扉やロールスクリーンを付けることで対策しましょう。

断熱性・気密性を上げて対策!

しかし、扉もロールスクリーンも付けられないスケルトン階段であったり、吹き抜けの空間に階段があったりする場合は、家の断熱性や気密性を上げて対策する必要があります。中でも、「窓」は外部との熱の出入りが激しい場所のため、樹脂製のサッシや複層ガラスを選んで対策をすることで、夏場・冬場の熱の出入りを抑制できます。

全館空調にするのもあり

全館空調とは、部屋ごとではなく家中の空気を丸ごと調整する空調システム。家全体の空気を調整できるので、快適に過ごすという点ではリビング階段や吹き抜けのある家とは相性がいいシステムと言えます。しかし、家全体の空気を調節することで、通常のエアコンを使用するよりも初期費用や電気代、メンテナンス代が割高になることが多いため、導入するかどうかは予算と相談しましょう。

2. 音が伝わりやすい

前述の通り、リビング側の入口に扉がついていないことが多いリビング階段は、リビングの音が2階の部屋へと伝わりやすいという特性があります。通常の話し声であれば問題はないかもしれませんが、大きな声で騒いだり、テレビをつけていたりすると、2階の部屋の扉を閉めていても音が伝わりやすくなります。

例えば、小さな子どもが寝静まった後や、集中して受験勉強をしている子どもがいる場合、テレビの音で起こしてしまったり、集中を妨げてしまったり…ということになりかねません。

2階の部屋のドアを防音性の高いものにして対策!

リビング階段の家の音の問題に対する対策としては、2階の部屋のドアを防音性の高いものにする、ドアが付けられるタイプのリビング階段の場合はリビング階段の入口にドアを付ける、といった対策が考えられます。

しかし、対策をしても、音に敏感な人はやはり気になってしまうかもしれません。元々音が伝わりやすい構造であるということを了解した上でリビング階段を選びましょう。

3. 匂いが漏れやすい

前述の「音」と同じ理由で、リビングと2階の部屋がつながっているリビング階段の家は、匂いも伝わりやすい特性があります。特に、焼き肉やカレー、キムチ鍋のような匂いの強い料理をすると、通常の家と比べて2階まで匂いが漏れてしまう可能性が高くなります。

キッチン・ダイニングと階段の位置を離して対策!

料理の匂いが伝わりにくくするために、キッチン・ダイニングとリビング階段の距離を離すことで、物理的に匂いが伝わりにくくすることができます。間取りに余裕がある場合は検討してみましょう。

高性能の換気や壁紙を選ぶのもあり

間取りに余裕がなく、キッチンとリビング階段がどうしても近くなってしまう場合は、高性能の換気扇を選んだり、消臭効果のある「エコカラット」のような壁紙をキッチンに導入したり、といった方法で対策しましょう。

4. 視線が気になりやすい

壁で囲まれたタイプのリビング階段ではなく、吹き抜けに面したスタイリッシュなタイプのリビング階段がある家は、階段を昇り降りする姿や2階の様子が丸見えになってしまいます。

特に来客時には気になりがち

家族同士では気にならないかもしれませんが、さほど親しくはない来客があった際、そのお客さんと知り合いではない家族がリビング階段を降りてきて顔を合わせるとお互いに気まずい思いをすることになるかもしれません。

リビング階段の出口の位置を工夫して対策!

例えば、来客がある時に2階の個室から玄関へ向かい、外出するようなシーンを想像してみてください。階段を降りて玄関に向かう際、お客さんのいるリビングを横切らなければならないとなると、自分の家ではあるものの気まずさを感じる方も多いのではないでしょうか。

リビング階段の出口の位置を工夫して、リビングの出入り口付近にすることで、お客さんと顔を合わせる時間を少なくすることができます。間取りに余裕がある場合は検討してみましょう。

5. 吹き抜けやスケルトン階段の場合は小さな子どもの落下防止用対策が必要

吹き抜けに面している階段や、スケルトン階段は、開放的でスタイリッシュな反面、小さな子どもの落下対策を考えなければなりません。幼い子どもは親が予測できないような動きをしてしまいがち。遊びに夢中になっているうちに、うっかりと階段の手すりをすり抜けて、1階に落下してしまう危険性があります。

子どもが小さいうちは手すりの網やベビーゲートでしっかりと対策!

小さな子どもがいる場合は、階段の手すりなどに取り外し可能な網を付けることで、落下事故のリスクを抑えられます。また、子どもがまだ乳幼児の場合は、階段の出入り口にベビーゲートを付け、子どもが誤って階段を降りてしまわないように対策しておきましょう。

メリットもたくさんある

ここまで、リビング階段の特性として、主にデメリットになりうる要素を考えてきましたが、人気になるものには当然ながらメリットがたくさんあります。

例えば、リビング階段の家には空間を効率的に生かすことができる、スタイリッシュで開放的な空間を作ることができる、廊下に階段がある家と比べて家族が顔を合わせる機会が増える…というメリットがあります。

こうしたメリット・デメリットを踏まえた上で、ご自分にとってベストな間取りを選択していきましょう。