
2019.10.14
日本で唯一の交通システムがあるユニークな団地「スカイレールタウンみどり坂」
広島の街
昭和の時代、郊外地域に急速に造成され、現在は需要の低下と住民の高齢化が問題となっている「団地」。山を切り開いて造成された団地も多く、険しい坂道が高齢となった住民に重くのしかかっています。
広島市近郊のいわゆる団地と呼ばれる住宅街には、公共交通機関がバスのみ、というケースがほとんどです。
しかし、比較的最近造成され、1997年に入居が始まった安芸区瀬野(せの)の山の上にある団地、「スカイレールタウンみどり坂」は、広島短距離交通瀬野線、通称「スカイレール」という団地専用の路線を持つという、独自の路線で開発を行った団地。
ここではスカイレールタウンみどり坂についてご紹介します。
スカイレールとは?

スカイレールとは、モノレールとロープウェイを組み合わせたような交通システムです。
日本全国で初めて非接触型ICカードが採用された鉄道でもあり、ケーブルカー以外の鉄軌道では日本一の急勾配という特徴もあります。
スカイレールの終点で、団地の山の上の方に位置する「みどり中央駅」から、JR瀬野駅と直結する「みどり口駅」までの所要時間は約5分。
途中に、「みどり中街駅」という中間駅があり、スカイレールには合計3つの駅があります。山の頂上へと向けて続く住宅街のほぼ中心部を縫うように走るスカイレール。

しかし、山の上の「みどり中央駅」よりもさらに上に住宅が広がっており、最も駅から遠い団地の端からは距離にして約800m、歩いて11分ほどかかると言われています。
毎日の通勤・通学のことを考えると、なるべく駅の近くに住んだ方が良さそうです。
定員は1車両25人
スカイレールの1車両あたりの定員は、座席8、立席17の25人。
日中の人の少ない時間帯であれば乗り損ねることはないかもしれませんが、朝夕のラッシュ時はやや不安が残る定員だと言えるでしょう。
しかし、上で述べたように、瀬野駅まで徒歩で向かった方が便利というエリアも存在するため、団地に住む全ての人がスカイレールを利用するわけではないようです。また、朝夕のラッシュ時は本数も多く設定されています(7〜10分間隔)。

みどり中央駅よりも上の部分にも広大な住宅地が続いています。
みどり中街駅より下は徒歩の方が便利

スカイレールタウンみどり坂でも、みどり中街駅から下(JR瀬野駅側)にあるエリアでは、JR瀬野駅まで徒歩で10分以内で行ける場所もあるようです。瀬野駅へ向けて坂を下る時は、スカイレールを利用せず、歩いて直接JR瀬野駅に向かうこともできるかもしれません。
しかし、スカイレールという独自の交通機関に惹かれてこの団地に住んだという方は、スカイレールを利用する意味がないこのエリアは楽しさが半減してしまうことでしょう。
2011年にみどり坂小学校が開校
1997年から入居が始まったスカイレールタウンみどり坂。
スカイレールの利便性に惹かれてマイホームを購入したと思われる子育て世代が急増し、従来の広島市立瀬野小学校の児童数が増え続けていました。
その結果、瀬野小学校から分離する形で、2011年に団地の敷地内に「広島市立みどり坂小学校」が開校しました。21世紀に開校した学校のため、ソーラーパネルが設置されていたり、教室の窓が二重サッシになって断熱性が高められていたりと、省エネに配慮された校舎となっています。
このみどり坂小学校の開校前は、団地に住む小学生全員が山の麓にある瀬野小学校に通っていたため、スカイレールには「小学生専用車両」と「小学生乗車禁止車両」が存在していたという逸話もあります。
買い物は車がないと厳しい
独自の公共交通機関・スカイレールにより、坂道の不便さを和らげているみどり坂。
しかし、団地の上の方にはスーパーがなく、団地内のスーパーは団地の一番下にある「ショージ みどり坂店」のみ。このショージみどり坂店で買い物をしてスカイレールに乗って帰れば便利なのではないか?と考える方もいることでしょう。
しかし、このショージみどり坂店はみどり口駅から長さ約80m、高低差27mの急勾配の階段を登らなければ行くことができません。
つまり、帰るついでに駅からちょっと歩いて寄れるスーパーではないのです。
このスーパーに行くには、車やバイクで行くのが現実的と言えるでしょう。また、瀬野駅周辺にはショージみどり坂店以外にもスーパーが点在しているため、基本的に日用品の買い物は車かバイクが必要であると言えます。
住民の高齢化や人口減に直面した時が勝負
今は子育て世代が多く住み、小学校が建設され、少子高齢化や人口減とは無縁に見えるみどり坂。2019年現在、1997年に30歳で家を買った人はまだ52歳の現役世代です。この第一世代の子どもたちはまだ学生の場合が多いでしょう。
しかし、この先10年後、子どもたちが就職して便利な都市部へと流出する可能性はゼロではありません。
現在、住民の高齢化や人口減に直面している高陽(こうよう)ニュータウンのような状況に陥らないためには、車の運転が難しくなる高齢となった際もスカイレールの駅から自宅までスムーズに移動できる手段を考えたり、スカイレールで無理なく行ける商店を誘致するなど、様々な対策が必要であると言えます。



